2015 元旦 茅ヶ崎の街に雪が舞った。 そして想い出した。
1978. 2月のある日 New York.
昨日 降った雪が、7番街の通りを凍らせている。
決してきれいな眺めではなく、
ペットがお構いなく垂れ流しているフンのせいで、歩道が汚い。
昨日 道端で中国製のアコーディオンを弾いていたオッチャンも今日はいない。
風邪でもひいたのだろうか?【ひくものが違う】
まぁいいや。 地下鉄の駅から、気になっていた駅まで行ってみよう。
はずれから3番目のBeachという場所だ。間違いなく、それは大西洋のはずだ。
チケットのかわりのトーケン(コイン)を買って金網の向こう側へ渡ろうとすると、
黒人の大男が客から小銭をとっている。マイク.タイソンそっくり。
皆 あきらめて、ポケットの小銭を用意している。
私も恐かったが、何故か私を見ると3、4人 手前で、いなくなった。
ブルース.リー 様々。
地下鉄に乗ると、一人の白人の男が、美大生だろうか?私を描き始めた。
コート一枚羽織っただけで、髭ボウボウのアジアンが面白かったのだろうか。
多分、ビジネスマンには見えないだろうが、
日本人では、めったに見ない旅人のスタイルだったのだろう。
50分ほどしてBeachの駅に着いた。
何も見る物もない寂しそうな住宅街だ。
海鳴りを頼りに歩き続ける。また雪が強まっている。
カモメも深くこうべを垂れて、風に埋もれている。これが大西洋か。
私が知っている太平洋とは、海の色が違う。黒いのか?
いや 違う。歴史の重みがその海に深く関わっているのかも知れない。
ずっと眺めていると、30分おきに真上の空を飛行機が飛んで行く。
ロンドン行きだ。
やっぱり、アメリカとイギリスは兄弟なのだ。
スペインの無敵艦隊をイギリスの海賊どもが破った時から、その事は決まっていたのだ……。
ふと気づくと身体が凍えて動かない。音もしない。心が何処かへ飛んでいってしまったようだ。
時刻は夕方ぐらいか。
その時、重く垂れ込めた雲の隙間から一筋の光が、私を照らした。
重い身体を引きずりながら、ようやく私は歩き出した。
New York. また、此処に来よう。
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